シンガーソングライターの齋藤キャメルさんは、福岡の人気カフェ「パタゴニアの南」を営んでいます。彼が生み出す、暖かな音楽とカフェの空間にはどんな秘密があるのか、お話を伺ってきました。
アーティストとカフェの両立について
Q:まず、アーティストとしてはどんな活動をしていますか?
齋藤:音源を作ってライブをして、というのが客観的なアーティスト活動で。一方で、みんなが出かけたあと、一人になって、部屋でギターを弾いて歌う時間があります。ギターを弾いて歌うということは、気持ちの良いことなのです。いわゆるジョギングのようなことです。
Q:では、カフェをやっていて良かったことは何ですか?
齋藤:毎日朝カフェに立って、掃除をしてコーヒーをいれて、そういうリズムができるのは、気持ちの良いパターンです。
Q:二足の草鞋を履いていて良かったと思うことは?
齋藤:金銭的なことよりも、ヤジロベエをイメージすると分かりやすいと思います。人にとって2という数字は安定しやすいのだと思います。夫婦でもそうですが、片方だけを持っていると偏ってしまう気がします。音楽とカフェというのは、個人的には本質は同じだと思っています。
Q:音楽とカフェの本質が同じとは?
齋藤:矛盾を一つにするということなんです。例えば一人部屋でギターを爪弾いて歌うにしても、自分と世界が一つになる感覚があります。そして、ライブをするにしても、会場と、観客と、自分が一つになる、そういうようなことが音楽の本質だと思います。そして、カフェというのは、街の矛盾をカフェという存在で、少し均しているのだと思っています。偏った愛情とか苦悩とかを調整する場のような気がします。一人で居ることが辛い人が来て、ここで優しさや愛情を受けて、回復してまた街へ帰っていく。バランスを取るポイントです。そういう意味で、カフェと音楽でやりたいことは同じなんです。
誰もいなくなった夜のカフェで、静かにコーヒー豆を焙煎する齋藤キャメルさんの姿に、暖かな音楽とカフェの空間の秘密を垣間見た気がしました。
齋藤キャメル
パタゴニアの南