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身体改造カルチャーを追って20年以上、今回は、最先端テクノロジーと結びついた「ボディハッキング」を紹介する。
ボディハッキングとは、体内にマイクロチップやマグネット、電子機器などを埋め込む身体改造である。ファッション的な側面より人間の機能拡張を目指しており、身体改造カルチャーのなかでも最も新しいトレンドとして急成長している。
2018年、私はアメリカ・オースティンで開催されたボディハッキングの国際会議「BDYHAX(ボディハックス)」の現場に立ち会った。世界各地から集まった参加者たちにとって、会議場で実際にチップの埋め込みができることは大きな魅力のひとつである。私もそこでマイクロチップを埋め込んでもらった。
現在、一般的に普及しているマイクロチップは、直径2ミリ、全長12ミリの米粒大のガラス管に電子機器が収められたもので、バッテリーは不要である。私のマイクロチップにはホームページアドレスなどが書き込んであり、スマホを使って、その情報を読み込むことができる。
ボディハッキングの現場からのレポートをお送りする。
マイクロチップで具体的に何ができるのか?
マイクロチップを埋め込んでいると、誰からも真っ先に聞かれる質問が「何の役に立つのか?」ということである。
個人情報を入れておけば、初対面の人との名刺がわりに使うことができる。BDYHAX国際会議では、初対面同士がお互いのチップをそれぞれのスマホで読み合うような光景もよく見られた。
日常的には、パスポートや自動車免許などの身分証明書を入れておいたり、チップそのものをIDとして用いて、スマートロックを開閉したり、車やバイクの鍵として使うこともできる。
国や地域によっては、自動販売機でジュースを買ったり、キャッシュレスで決済したり、電車に乗ったりといったことも試されている。
情報の書き換え可能なNFC方式のマイクロチップが登場したことで、個人認証用IDとしてだけではなく、様々な使い方ができるようになっている。
ボディハッキングはどこから始まったのか?
ボディハッキングという新しいトレンドは、「ハッキング」という言葉に現れている通り、ギーグやハッカーと呼ばれるようなコンピューターオタクたちが身体改造と出会ったことから始まった。
2013年、アメリカ・ピッツバーグに住むプログラマーのティム・キャノンは、「サーカディア」という体温などの身体情報をワイヤレスで送信する機器を自ら考案し、それを実際に体内に埋め込んで、ボディハッキングの先駆的な存在となった。
2015年、彼は「ノーススター」というLEDが点灯する機器を作り、約20人の仲間たちとともに体内に埋め込み、サイボーグ時代の到来を宣言した。
ティムと彼らの仲間は、「グラインドハウス・ウェットウェア(grindhouse wetwear)」というチームを結成し、自らを「グラインダー(grinder)」と称した。この言葉は、人気のSFコミック『ドクター・スリープレス』に登場するDIYサイボーグたちの呼び名で、彼らはそのコミック同様、夜な夜なティムの自宅の地下室に集まり、体内埋め込み機器の実験開発を続けていた。
BDYHAX国際会議でも、ティムが登壇するディスカッションは大人気だった。参加者たちは、ほんの米粒大のマイクロチップを体内に埋め込むことで「私はサイボーグ」と力強く語り、新しいテクノロジーを自らの身体に引き受けることで、未来を先取り存在となることを誇っていた。
また一方、その国際会議には、米国政府直属の軍事研究機関DARPAを始め、大学や企業、医療などの専門家たちも多く参加しており、実践者たちとの出会いから、大きな技術的な飛躍も期待されていた。
スマホの次はマイクロチップの時代が来る!
BDYHAX国際会議のディスカッションでマイクロチップの未来について語るたび、毎回引き合いに出されたのは、2007年に登場したiPhoneがほんの10年間で世界中に普及した事実である。
素晴らしいアプリケーションと画期的な使用方法が生み出されれば、スマホの次にはマイクロチップの時代が来るというのだ。
将来、私たちはマイクロチップを体内に埋め込むことで、財布も鍵も身分証明証も不要になるかもしれない。マイクロチップの実用化によって、サイエンスフィクションの世界で描かれてきた人間と機械が融合するサイボーグが現実のものとなり、私たちはテクノロジーと一体化し始めている。
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まだ実験段階ではあるが、マイクロチップはこれからの数年間で世界をガラリと変えてしまうかもしれない。
そんな未来が到来する瞬間を見逃すな!
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