動画撮影に重点をおくカメラ
α7S IIIは、高精細な4K120p、4:2:2 10bit記録にαシリーズとして初めて対応した動画撮影に重点をおくカメラです。4K 120pによるハイフレームレートの撮影に対応しているため、シマティック動画で多用されているような滑らかなスローモーション動画を、4Kで撮影できます。また4:2:2 10bitに対応したことで、より繊細なカラー表現ができるようになり、編集時の表現の幅が広がりました。
手ブレ補正は、光学式の5軸ボディ内手ブレ補正に加え、動画専用の「アクティブモード」も搭載。アクティブモード時は撮影画角が少し狭くなるものの、手持ち撮影でも手ブレの少ない動画を撮影できます。さらに、AF(オートフォーカス)が優秀なため、動きの速い被写体でもフォーカスをあわせ続けながらの撮影も。
被写体の瞳にピントを合わせ続けるリアルタイム瞳AFや、画面内の任意の場所にいる被写体を自動追尾するリアルタイムトラッキングにも対応。液晶画面をタッチしてピントを合わせることもできるので、ピントを合わせる負担が少なく、構図に集中できます。
静止画性能も向上
新開発のCMOSイメージセンサーと新画像処理エンジンの採用により制止が静止画性能も良くなっています。2019年7月に発売された高解像度モデル「α7R IV」と比べても色再現性能がさらに向上しました。
α7S IIIの約1210万画素という画素数はミラーレス一眼レフカメラの中では少ないです。大きなポスターの印刷などには向きません。ですが、画素数が少ないからこそダイナミックレンジが広く、高感度でもノイズが少ないため、暗い場所でも鮮明な撮影ができます。
また、ソニーのデジタルカメラとして初めて高画質のHEIF(ヒーフ)フォーマットにも対応しました。
*パソコンやアプリがHEIFファイルに対応していないと表示や編集ができない場合があるため注意が必要です。
クリエイティブルックで気軽に雰囲気を変えられる
静止画、動画の雰囲気を気軽に変更できる「クリエイティブルック」を搭載。コントラストがありながら落ち着いた発色と印象的な色味の「FL」や、マットで柔らかな質感の「IN」、セピア色のモノトーン「SE」など10種類のプリセットが用意されています。気に入ったプリセットをさらに自分好みの色合いにカスタマイズも可能です。気軽にシネマティックな色味をつくるのにも適しています。
バリアングルモニターで自撮り撮影も容易に
α7S IIIは、バリアングルタイプの横開き背面モニターを搭載。横方向に176度、上方向180度、下方向90度と自在に可動するバリアングル機構なので、自撮り撮影や、地面すれすれの撮影などでも画面を見ながら撮影できます。
オンライン会議やライブ配信のウェブカメラとして使える
α7S IIIは、オンライン会議やライブ配信のウェブカメラとしても使えます。使用方法は、専用の無料アプリ「Imaging Edge Webcam」をインストールして、パソコンとα7S IIIをUSBで接続するだけ。OSは、Windows10(64bit)とmacOSに対応しています。
動画の手ブレ補正は「アクティブモード」以外は厳しい
α7S IIIは動画撮影時の手ぶれ補正を「スタンダード」「アクティブ」から選べます。歩きながらの撮影などは、手ブレ補正がない状態はもちろん、スタンダードでも厳しいです。街歩きなどで頻繁に使用したい場合は、アクティブの使用、もしくはジンバル・スタビライザーの使用をおすすめします。アクティブだと画角が少し狭くなる点も注意です。
写真をメインに使う場合、トリミングを多用できない
α7S IIIの約1210万画素のため、静止画撮影の大きさは4240 x 2832となります。そのため、写真をメインに使用する場合は、トリミングをしすぎると画像自体が小さくなってしまうので注意が必要です。
コメント
2020年に買ったガジェットの中でベスト3に入る名機です。α7S IIIを購入するまではα9をメイン機として使用していましたが、α9を使う機会がほぼなくなりました。α7S IIIはG MasterのF1.4の単焦点レンズ「SEL24F14GM」をメインレンズで使っています。
動画性能が注目されることの多いα7S IIIですが写真でも活躍します。約1210万画素は写真だと物足りなく見えますが「SNSにアップする」「LINEなどで友だちや家族に写真を共有する」「ブログや記事に使う」といった用途では困ることはありません。むしろ、約1210万画素であることが利点のことが多いです。
例えば、画素数が少ないことで、ほかのα7シリーズと比べて1画素に対する面積が大きく多くの光を集められるため、光が少ない室内や夜間での撮影でもノイズが少ない綺麗な写真が撮れます。α9と比べても夜間撮影で光量を気にすることが減しました(動画のほうが恩恵が大きいです)。加えて、ファイルサイズも小さいので編集時のPCの負担が少ないのも地味に嬉しい点です。
また、写真や動画を毎日撮ってPCに保管している人に重宝するのがUSB Type-C。USB Type-C経由でデータの転送ができるのでSDカードの抜き差しが必要なく、同時にα7S IIIの充電もできます。毎日の運用が楽になりました。
動画性能に関してですが、文句の付け所がありません。通常の設定でそのまま撮った動画を撮って出ししても、使用当初は綺麗さに驚きました。AFの反応も良く、瞳AFにも対応しているため素早い動きでも、自撮りでもそつなくこなします。ただ、4:2:2 10bitの4Kで撮影した場合などは、データ量が非常に重たくなり、編集に負担がかかるので注意が必要です。
あと強力な機能が、バリアングル対応の液晶モニター。自撮り方向に向けることもでき、液晶がタッチ対応しているため、かゆいところに手が届きます。自撮りで撮影する場合は、瞳AFのおかげで目にピントが合っているかまでわかるので、「動画を撮り終わったあとにピントがボケていた」みたいなことがなくなりました。マイクをつけても、液晶モニターを自由に回転できることや、HDMIケーブルを挿した状態や、マイクをつけた状態などでも液晶モニターを自撮り側にできるのも良い点です。
注意点は、動画をメインで使用するのであれば予備バッテリーは必須なこと。USB PDに対応しているのでモバイルバッテリー経由で高速に充電もできますが、予備はひとつは持っておいたほうが良いと思います。また、レンズを装着すると1キロ近く、1キロを超えることもあるため、手持ちで長時間の撮影は厳しいです。
「本格的な動画を撮りたい」と思ってカメラ購入を悩んでいるのであれば、値段は安いけど中途半端な動画性能のカメラを購入するよりα7S IIIをおすすめします。
夜景や暗い室内撮影に強いカメラ。自分で実際に使う前からα7S Ⅲはそのような特徴のあるカメラだと聞いていました。
このカメラを使って最初に試したのが、夜のお寺の散歩撮影でした。常用ISO感度が静止画でも動画でも80-102400と言う驚異のスペック。
実際に暗いお寺の公園で動画を撮影してみたら、目に見える明るさ以上に画質を調整しても、高感度撮影特有のノイズも少なく、綺麗な映像を撮れました。
私は、商品発表会など室内の撮影や、夜のカメラテストでの自撮りなどもする事が多いので、α7S Ⅲはまさに相性の良いカメラです。
静止画に関しては画素数が約1210万画素と言う事で、いまいち期待できないと言う見方もされます。しかし、実際に自宅のプリンターで、夜の街角スナップをA4プリントをしてみたら、2000万画素のカメラの画質と比べても解像感は変わらなかったです。
α7SⅢは、多彩な動画撮影性能、バリアングルモニターによる自撮りのしやすさなど、様々な魅力がありますけど、やっぱり最大の魅力はあえて低画素にした事によって、暗い場所に強くしたところだと思います。
他にこんな性能を偏らせたミラーレスカメラは無いので、α7 Ⅲは個性が際立っているんです。
だからと言って、レンズ交換式カメラとして必要な要素を省くことなく、しっかり押さえているのも上手い作りです。
使いやすく整理されたメニュー画面や露出ダイヤルのロックなど、過去のソニー製カメラでユーザーから指摘されていた部分は、しっかりと改善されています。
私が利用した範囲では不満点はほとんど無かったです。少し気になったのはAFが敏感すぎて、動画撮影時に前後にピントに迷う事があり、後から映像確認したら気持ち悪い動きしていた事が何度かありました(笑)。
後は価格かな…。さすがにボディだけで約40万円ってのは個人クリエーターには手が出しにくい。
1か月ほど自分のYouTube動画撮影機として使いましたけど、本当にずっとこのままメインで動画撮りたいって思えるカメラでした。
「本格的な映像作品が撮りたい。仕事で使うカメラで予算は余裕がある」そう言う方なら、どんな明るさのシーンでも対応できるα7SⅢは価格以上の価値を見出してくれると思います。