日本でマイクロチップの販売会社が発足した。アメリカ・シアトルに本拠地を置く、世界のマイクロチップのディストリビューター最大手Vivokey Technologyのサポートのもと、日本国内販売を行う Vivokey Japanが正式に設立したのだ。
マイクロチップが世界的なニュースになり始めたのは2015年頃、自らの体内にマイクロチップを埋め込むことで、ドアの開閉や車のキーに使えたり、国や地域によってはデジタルマネーの支払いや電車に乗れるなど、サイバーパンクな日常がすぐそこまで来ていると大々的に報道された。
とはいえ、欧米圏でもマイクロチップが本格的に普及し始めたのはその2年後あたりから、パンデミックを挟んで、アメリカではマイクロチップを強制してはいけないという法律が州ごとに制定されるなど、広く認知されるとともに社会的な受け入れの体制作りも進んできた。
今回はVivokey Japan発足に合わせ、Vivokey Technology代表アマル・グラフストラ氏が来日。それを記念したイベントも開催されたので併せて報告したい。
デジタルアイデンティティは自らの身体に
「マイクロチップがついに日本でも身近なものになりました。詳しくは日本語ホームページにアクセスしてもらえれば、マイクロチップの購入も簡単です。バウチャーシステムになっており、購入料金にチップを埋め込むコストも含まれています。提携ドクターに購入したチップのQRコードを持参すればインストールしてくれます」
そう語るのは龍崎フリオ氏。彼によれば、マイクロチップの導入によって、日常生活は大幅にスマートで便利なものとなるという。現在、インターネットなどを使っていると、様々なプラットフォームにアクセスするたびにパスワードを入力しなければいけないことが多い。マイクロチップのIDを登録すれば、リーダーにすっと読み取らせるだけで、プラットフォームが立ち上がる。ドアの開閉や車のキーはもちろん、マイクロチップによって、年々複雑化するパスワード入力の作業からも解放されるのだ。
一方、マイクロチップの仕掛人として、世界的な流行をけん引してきたアマル・グラフストラ氏が強調するのは、マイクロチップの素晴らしい利便性をもっと生活に活かし、デジタルアイデンティティを自らの身体に埋め込んで管理することの重要性だ。アマル氏は次のように語った。
「セキュリティと安全性の面から考えて、マイクロチップは常にあなたとともにあり、とても安全でバッテリーも不要、人間の生涯にわたる耐久年数があります。鍵の要らない人生は私たちにとっての最大の変化であり、そのことが私がこのテクノロジーを世界に広めるきっかけでした。ですから、日本社会がマイクロチップを理解し、興奮し、その未来にに興味を持ってくれることを期待します。そして、日本でこれから何が起こるか楽しみです」
日本で加速するマイクロチップの普及
Vivokey Japan主催のマイクロチップのイベントでは、参加者たちのほとんどはマイクロチップを埋め込んでおり、名刺代わりにお互いにチップを読み合うことで、SNSアカウントや個人情報を手軽に交換できた。
多くはIT知識を持ったエンジニアやギークたちで、マイクロチップを様々なアプリケーションと組み合わせ、自分なりの使い方などを探求していた。もちろん、彼らが望むのはさらなる利便性の拡張であり、マイクロチップが日本でもっと広く受け入れられるようになることだ。
ここで改めて、フリオ氏が強調するのは、マイクロチップが持つ安全性や利便性の高さである。
日本ではマイクロチップを体内に埋め込むことへの抵抗感が大きいと言われるが、それを軽減するため、今回の Vivokey Japan 設立に合わせ、マイクロチップの埋め込みについて、提携ドクターのサポート体制を整えている。
また千葉市に拠点をおく国内企業として立ち上げたことから、マイクロチップの国内普及を推し進め、日本の企業や自治体との連携を通して、日本独自のマイクロチップのニーズに応えていきたいという。
サイバーパンクの代表作といわれるウィリアム・ギブスンのSF小説『ニューロマンサー』は1980年代の日本に未来の姿を投影したことから生まれたが、Vivokey Jaganが望むのは、そんなサイバーパンクな世界を日本で実現することなのだ。
サイバーパンクな日常をあなた自身で体験しよう!
VivoKey Japan