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レストランなどで見かけるようになった料理を運ぶ配膳ロボット。そのネコ型バージョンが10台も稼働している料理店が千葉にある。バックヤードから客席間を、複数台がスムーズに走り回る様子は実に見事。店内を一部改修してまでロボ導入を進める背景を現地取材した。
大型店舗を行き交う
ロボット技術を活用した配送インフラの提供を目指す東京のDFA Robotics社が3月中旬、報道関係者に機会を設けた。向かった先は千葉県富津市にある漁師料理「かなや」。きれいな内房の景色と新鮮な海鮮が人気の店舗で、芸能人も多数訪問している。壁にはサイン入り色紙が多数飾られていた。
平日の訪問時ながら、ランチタイムの時間帯は大賑わいだった。かなやは、席数が75卓で450席もある大型店舗。そこをDFA社経由で導入したネコ型配膳ロボット「Bella Bot(ベラボット)」10台が行き交っていた。ベラボットは中国のPudu Robotics社製だ。
常時3台が待機
かなやは2022年12月、料理を出すバックヤードと客席を隔てる壁を改修。以前よりも90cm客席側に移動させ、配膳ロボがバックヤードを通れるようにした。常時3台がバックヤードで待機できるようになり、スタッフは料理を載せやすくなった。
配膳ロボには、3D障害物回避センサーがついている。そのため2台によるすれ違いも上手だ。バックヤードから客席までの間には坂道もあるが、そこも徐行しながら上手に下ってゆく。
こうして10台もの配膳ロボがスムーズに走り回る様子は、実に見事だ。「あっぱれ」と拍手を送りたくなる。
4台から慣らし始める
建設、宿泊など多くの業界で人手不足が言われている。飲食業もその一つだ。「このお店、注文取りに来るのが遅いな」「スタッフ足りてないのでは」。食事に行った先で、こうした感想を抱いたことがないだろうか?
かなやの場合、独自の事情も重なる。見晴らしがよい分、地元の富津市役所から車で25分以上もかかる。アクセスの悪さが嫌われて、求人を出しても人が集まらない状況が続いた。
人がダメならロボへーー。運営会社の社長が決断し、当初は4台から慣らし始めた。そして2022年3月から8台態勢とした。
2022年5月に1週間、ロボ配膳の効果を測定した。合計3319食を運び、人による配膳数を5割以上削減。1日平均16kmを走行し、スタッフの労働負荷を楽にした。
効果があったことから店舗を改修し、2023年3月にいまの10台態勢を実現した。
「今から行ってくるニャー!」
配膳ロボは出発時に「今から行ってくるニャー!」と可愛らしい声を発する。上部には耳があり、ディスプレイ部分にはひげ付きのネコの表情が出る。愛嬌のある親しみやすい仕様といえる。
こうしたこともあり、スタッフは配膳ロボを「ベラちゃん」と呼ぶ。10台はすっかり「仕事仲間」として定着し、今日も生き生きと稼働している。
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こうしたロボット配膳の活躍場所は、ますます広がりそうだ。あなたの地元料理店でも「今から行ってくるニャー!」が聞ける日は、そう遠くないかも?