Culture

星読み係yujiが感じた列島のバイブス 書籍『日本』が伝える視覚以外の大切さとは?

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霊感ゼロ、占いに興味なし、スピリチュアルから程遠い。新年の初詣でも、おみくじを引かない。だからこそ、厚さ3cmを超す大著『日本』(にほん・光文社)を手にしてみた。

著者のyujiさんの肩書は、星読み係・ヒーラー・聖地巡礼家。この記事の筆者である私は、24年前に新聞記者としてメディア業界に入った。その時から、肝に銘じてきた。対極にこそ発見がある、と。今回はまさに、言葉通りの展開となった。

日本を「感じる」ための本

『日本』は「はじめに」の1行目からして、刺激的だ。

「この本は日本を『知る』本ではなくもっと『感じる』ための本である」

日本列島を行政単位にこだわらず、「気やバイブスというものの視点を基軸」に63区分している。

「01 北海道ー道東/道北」から始まり「63沖縄県(八重山諸島含む)」まで、北から南へと下っていく。私の出身地の埼玉は「13 武蔵国」にくくられていた。

「17 富士山周辺」を参照してみよう。「富士山はなんとも『1』という数字が似合う山だと思う」との所感を述べた後、富士山に祀られている「天照大神の孫」にも言及。以下のような見解を示す。

「1の波動を強く持つため、1番になる、道を切り開く、目立つ、頭角を現す! というエネルギーをこの地に行くとまとわせることができるように思う」

各地をyujiさん独自の感性で捉えながら、歴史や縁のある偉人・著名人にも触れつつ、ぐいぐいと分析を進めていく。

拒絶せず、受け入れる姿勢で読み進めると、書かれている内容には、かなり得心できた。

「鈍い」が「鋭い」に聞いてみた

私は生まれてこのかた、土地のバイブスを意識したことはなかった。目に見えるものを重視し、ロジックで物を捉えようとしてきた。

そういう意味では、何かを感じる体感に「鈍い」筆者が、「鋭い」yujiさんにインタビューする図式となる。分からないからこそ、率直に聞いてみた。気になっていた「個人間の差」を聞くと、次の回答が返ってきた。

「体感リテラシーみたいなものは、レベルが高いか低いかは別にして、ゼロではないと思っています。1の人もいれば10の人もいるということ」

「僕は全ては共振だと思っている。クラシックの中にロックギターがいるとおかしいけど、バイオリンはOK。自分が何の楽器かと分かると、コンテクスト(文脈)も分かる」

「自分のバイブスも知って、土地のバイブスも知る。それがいいハーモニーを生み出すコツかなと。その方程式を皆が持つと、少なくとも各人のQOLがあがるかなと思ってっていますね」

最後に出てきたQOLは、クオリティ・オブ・ライフのことで、「人生の質」「生活の質」などと訳されている。

「土地のバイブス」を意識してみると

体感リテラシーが「1の人」に分類されるであろう私は、「自分のバイブス」を掴めていない。というか、先の「はじめに」を読んだ際、バイブスの意味を掴みかねて、改めてGoogle検索をしてみた。「ノリ」「テンション」「雰囲気」などと紹介していることが多かった。

せっかくなので、「土地のバイブス」について考えてみた。山手線内側の北部地域に住居を構えて、12年目。神社や霊園が程よく散らばり、落ち着きがあって、なかなかしっくり来ている。

東京では、墨田区両国、江戸川区西葛西、中野区弥生町にも住んだことがある。なるほど、過去の3箇所より、今のところの方がバイブスが合っていると言えそうだ。

「基軸は自分の体感以外ない」

2020年の始め以来、日本社会は新型コロナウイルスに翻弄されてきた。オンライン会議やリモートワークが普通となるなど、我々のライフスタイルに変化を生んだ。

筆者は、このタイミングで動画メディアbouncy編集部に加わっている。動画は視覚情報そのものだ。

「感じること」と新型コロナの絡み具合を尋ねた。

「今までの絶対的なひな形みたいなものが、コロナショックで、もう崩れたと思っています。何を今後軸に生きていくかとしたら、自分にとってそれが心地良いか、心地よくないか。体感を鍛え、自分に問うていくことをしないといけない」

「これからは自主性、自立性が重要視される時代になっていく。基軸は自分の体感以外ない。ウェルビーイングやマインドフルネスのような自分に潜っていくことが、ここ数年、取りざたされているのもそう。体感を深めることは、もっとフォーカスされてもいい」

コロナの中「風の時代」へ

yujiさんが詳しい占星術では、2020年に「土の時代」から「風の時代」に変わったとされる。220~230年ぶりぐらいに起きた「新時代」への突入が、新型コロナによる激動と重なったことは、実に興味深い。

「これは必然でしょうか」と素直に聞いてみると、「ポジション的に『そうですね』とは言いづらい」とyujiさん。それでも、説明を続けた。

「ひな形が崩れていくのもそうだし、社会的に力を持っているとされている分野・業界・領域が今でも十分にスライドしてきている。どの業種でどんなことをしている方でも、『世の中変わってきている』というのを、誰も否定できなくなっています」

「占星術と時代の進化のタイミングがシンクロしているのが、そこでも見て取れる」

まだまだ体感センサー磨ける

人生100年時代の今、46歳の筆者はちょうど、人生後半の「新時代」に差し掛かろうとしている。体感センサーを磨く残り時間は十分にある。

新年の初詣は、時間をぐっと前倒ししてみようか。人気の少ない神社の境内ならば、そこのバイブスを感じられるかもしれない。NHK「ゆく年くる年」の視聴で引き締まった気持ちだけに、いつもより「感じる」チャンスがありそうだ。

「凶」が出たら凹むので、おみくじは引かないだろうけど。

  • 光文社
  • 日本

  • 税込2,750円
CREDIT
Planner/Interviewer/Writer :高野 真吾
Videographer/SNS :Tatsuhiro Toshima

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