自然を感じる空間が作品に良い影響も?!映像監督・中尾浩之さんの眺望重視の仕事場
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となりのMyデスク
リモートワークや在宅ワークが定着しましたが、自宅だけでの仕事に限界を感じている人も多いのでは?カフェやコワーキングスペースもいいですが、いっそのこと環境の良いサテライトスペースを持つのもひとつのアイディア。今回はリモートワークを実践している人のアドバイスをもとに、新時代のお仕事環境を紹介します。
一覧を見る今回のおとなりさんは映像監督・中尾浩之さん
中尾さんは幼い頃から映画監督を目指し、学生時代には自主映画の制作も手掛けるなどして、大学卒業後は自ずと映画や映像の世界へ進みます。
その後、実写とアニメーションを組み合わせた「スチーム係長」がMTV Station-IDコンテストでグランプリを受賞すると、その新しい手法が話題となり国内のみならず海外からも映像制作の依頼が来るなど、一躍注目を集めます。
数ある有名作品の中でも、中尾さんが脚本と監督を手掛けたNHKの歴史エンタメ番組「タイムスクープハンター」は特に好評を得て、6年間に渡って放送されました。
また、2013年には劇場版の映画も公開されるほど人気作品となりました。
中尾さんの作品が世界中の映画祭で多くの賞を受賞し、比例するようにドラマや映画の制作の現場を忙しく駆け回っていたところに、コロナ禍の広がりとともに制作現場にも変化が訪れます。
現場での仕事から、在宅でのフルリモートに180度切り替わったという中尾さん。
今も仕事の殆どをリモートで行う中尾さんに、クリエイティブな仕事に欠かせない、仕事場に求める要素を伺いました。
中尾さんのリモート環境をチェック
項目 |
内容 |
---|---|
リモートで行う作業 |
執筆、企画書作成、オンライン会議、ライブ配信など |
リモートワーク頻度 |
2年前まではフルリモートだったが、最近は週1~2回の出社以外は在宅で仕事 |
PC |
MacBook Pro |
イヤホン |
EarPods with Lightning Connector |
スマホ |
会社支給のiPhoneに、個人のスマホ+通話用のガラケーを所有 |
コロナ禍で会社もフルリモート勤務に変わり、働き方がガラリと変わったという中尾さん。
中尾さんは自宅での仕事に対して、特別なガジェットは使っていないそうですが、働く場所については「環境の良さ」にこだわっているそうです。
窓からの良い眺めで仕事の気分UP
中尾さんによると、コロナ禍前は監督の仕事がメインだったので、人と会って企画を考えたり、ロケや撮影で現場に出ずっぱりということも多かったと言います。
脚本や企画書を書く時も、会社のデスクに向かって黙々と作業をしていて、家に仕事を持ち込むことは全くなかったそう。
しかし、2020年の4月に会社がフルリモート勤務へ移行すると、中尾さんも自宅での仕事に切り替えざるを得なくなりました。
偶然にもコロナ禍が始まったタイミングで、映画やドラマのシナリオを作ったり、小説の執筆といった書く仕事が増えたことで、自然と自宅でのリモートワークに移行できたそうです。
最初は小さな折りたたみ椅子を買って、リビングや寝室、ベランダなど自宅の様々な場所で仕事をしてみましたが、ふと、「ベランダとか窓のある外を感じる部屋が良いな」と気付きます。
会社のデスクは窓がないから集中できていると思ったけれど、窓からの眺めが良いと気分もよくなるし、作品にも風の匂いとか自然の描写が増えました。執筆の際は外から聞こえる鳥の音、車の騒音など、環境を感じる音に囲まれていたいです。
窓辺にタイムスクープハンターの主人公のフィギュアを飾って、住宅街と近くの森を見渡しながら作業をするのが中尾さんのお気に入りです。
中尾さんはリモート当初、簡易な折りたたみ椅子を使っていましたが、自宅という慣れない環境でPC作業をしていると身体が縮こまってしまうと実感。
長時間の執筆作業が多いので、今では自然に背中が伸びる姿勢が作れるバランスチェアを使って、無理のない体勢を心がけています。
自然豊かなサテライトスペースを作る
コロナ禍で執筆作業をする上で、中尾さんが積極的に利用したというのが地方にあるリゾートマンション。
新潟県のスキー場近くにあるマンションは、大きな窓越しに越後山脈のパノラミックな景色が目の前に広がっています。
ゴールデンウィークや夏休みに長期休暇を取って、マンションに中期滞在しながら「ブルバスター」の脚本や、新たな小説の執筆を進めていたそうです。
ホテルでワーケーションをすると、どうしても遊びたくなっちゃいますよね。でも、マンションだと長期間滞在できて、今日の午前中は仕事をして午後は遊ぶ、と決めれば気分の切り替えもできます。田舎に来たらBBQや釣りをしたり、有名なラーメン店に行ったり、日本酒を買いに行ったりと楽しみも多いです。
中尾さんがコロナ禍で執筆を進めたブルバスターの原作本はコチラ↓↓↓
バブル崩壊後に価格が下がったリゾートマンションは「コストを抑えながら使いたい時にいつでも使えて便利」という中尾さん。
東京から新幹線で約1時間というアクセスの良さも、ワーケーションの拠点選びのポイントだそう。
購入はハードルが高くても、別荘や中期滞在施設のシェアリングサービスも普及してきているので、環境の良い場所にサテライトスペースを持ってみるのも素敵なアイディアですね。
ニューノーマル時代は出勤と在宅のミックスが定番化
社会がアフターコロナに変わっていくことで、中尾さんの会社でも出社する機会が増えてきました。
今は週に1~2回は打ち合わせや現場仕事で出勤していますが、それでもリモートワークも取り入れながら働く理由を聞くと「在宅なら通勤時間が削減できて、執筆にも集中できるから」と答えます。
通勤に費やしていた3時間を仕事に充てることもできるし、起きてすぐに仕事を始められます。会社のデスクに居ると、集中して執筆していてる時でも会議などで中断することが結構あります。けれど、家にいるとすごく集中して取り組めますね。
その一方で、最近は出社をしてスタッフや同僚と雑談をしたり、対面で話すことで議論が活性化することも感じていると言い、アフターコロナはオフィスとリモートをミックスしていくのがスタンダードになっていきそうです。
そんな中尾さんが仕事で使っているのは会社支給のMacBook Proのみで、マウスもキーボードも使わずにラップトップのトラックパッドで完結しています。
最近は原作を手掛けた「ブルバスター」のオーディオドラマが配信されていますし、YouTubeで制作スタッフたちと対談するライブ配信も行っています。こうした活動がPC1台でどこでもできるので、自宅やリゾートマンションから出演することもありますよ。
頭にストックしたネタを、時代に合わせてアウトプット
ブルバスターは”経済的に正しいロボットヒーロープロジェクト”というコンセプトで、燃料費、人件費などのコストとせめぎ合いながら、正体不明生物・巨獣と戦う中小企業の奮闘を描く物語です。
タイムスクープハンターもブルバスターも、どこか社会を少し斜めから見たような視点が特徴的な作品ですが、中尾さんにアイディアの源泉を聞きました。
殆どの構想やストーリーといったネタは頭の中にストックしてあります。タイムスクープハンターでいうと、時空ジャーナリストが戦国時代に行って撮影をする、というアイディアは学生時代からありました。でも、当時のカメラ機材は大きくて、ジャーナリストが単身で撮影するという設定が現実的ではありませんでした。しかし、時代が変わってテクノロジーも進化すると、昔のアイディアが現実的に成り立つこともあります。頭の中にやりたいことが渋滞しているから、どれを引っ張り出すか、という感じです(笑)
中尾さんによると、映画やドラマの企画がボツになることは日常で、企画が通らなくても一旦、頭の中にしまっておくとのこと。
10年前のアイディアが今使えることもあるし、同じような題材でもテーマを変えたり、主人公の設定を変えることで活かせることもあるそう。
「頭に浮かんだアイディアは、貯めておけば必要な時に蘇る」と中尾さん。
これは映画や映像だけでなく、日頃の仕事でもアイディアの整理術として活用できそうですね!
まとめ:気分転換できる景色や場所がポイント!
ここまで映像監督の中尾さんにリモートワークの実践方法を聞いてきましたが、色々なインプットが求められるクリエイティブの現場でも作業内容によってはリモートでも対応できることが分かりました。
マンネリ化してしまいがちな自宅を離れて、景色が良い場所や自然豊かなところにサテライトスペースをつくるのは、より創造的な仕事をする上では真似したいアイディア。
そして、自宅という慣れ親しんだ環境でも、窓からの景色や環境から感じられる感触や音に触れることで、仕事中の良い刺激になります。
リモートだと作業に没頭してPCにかじりついてしまいがちですが、少しだけ窓の外にも意識を向けてみると、気分転換になりますよ。
今後も【となりのMyデスク】では、多様な働き方を実践するアイディアを紹介していくので、ぜひご期待ください!
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