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「知っておくと得する医療や医学の知識」について現役医師がリレーでわかりやすく楽しく解説する動画コラム「現役ドクターの動画処方箋」ーーー今回は耳鼻咽喉科医からの、正しい耳かきについての動画処方箋です。
みなさん、耳かき(耳掃除)はどんな時にしていますか?
かゆいから毎日している、お風呂あがりに毎日するのが習慣という人もいるかもしれません。
でも耳かきは2〜4週間に1回で十分だって知っていました?
今回は、ついついやりたくなってしまう耳かきについて、正しく学んでいきたいと思います。
耳かき(耳掃除)は必要か?
耳かきは耳あかを取ることを目的にする人が多いと思うのですが、実は耳あかは単なるゴミではありません。もちろん、はがれ落ちた古い皮膚なども含まれますが、抗菌作用のあるタンパク質が含まれていて細菌の繁殖を抑えたり、虫や異物が耳の奥まで入ることを防いだりする働きもあるため、たとえ耳あかがあっても問題はありません。
耳あかは耳の穴から鼓膜までの「外耳道」という部分の外側1/3で作られます。身体の仕組みは良くできていて、作られた耳あかは奥から外側に向かって自然に移動していきます。耳の穴の近くまで出てきた耳あかは、食事や会話などで顎を動かしたり、寝ている間に寝返りをしたりすることで、自然に耳の外に出てきます。
つまり、大人の場合にはほとんど、耳かき(耳掃除)は必要ありません。
耳かき(耳掃除)が必要な人はどんな人?
大人の場合には耳あかは自然に排出されるため、耳掃除はほとんど必要ないことを説明しました。しかし、中には耳掃除をした方が良い人もいます。
赤ちゃん、高齢者、生まれつき外耳道が狭い人、耳の手術を受けて外耳道の構造が通常と異なる人などでは、耳あかが自然に排出されにくく、耳掃除が必要なことがあります。この場合、掃除は自分で行っても良いですが、耳鼻咽喉科へ受診すると、耳あかを直接見て掃除をしてもらえるので、より安全な耳掃除を受けられます。
耳あかの性状によっても排出されやすさが異なります。日本人の約8割は乾いた耳あか(乾性耳垢:かんせいじこう)で、残りの2割が粘っこい耳あか垢(湿性耳垢:しっせいじこう)です。
乾性耳垢の場合には、自然に耳の外に排出されやすいので耳掃除はほとんど必要ありません。一方、湿性耳垢の場合には、自然に排出されないこともあるので、2〜4週間に1回程度の耳掃除をしても構いません。
耳あかが大量に溜まって耳が聞こえにくくなったというエピソードを聞いたことがあるかもしれません。これは耳垢栓塞(じこうせんそく)と呼ばれる病気ですが、耳掃除をしないことが原因ではなく、ほとんどの場合、間違った耳掃除で耳あかをどんどん奥に押し込んでいることが原因です。
しかし、高齢者では耳の自浄作用が低くなったり、耳あかが硬くなったりすることで、奥に詰まってしまうこともあるため、難聴や耳の詰まり感などが気になった場合は耳鼻咽喉科に相談してみてください。
耳がかゆいのはなぜ?
耳掃除は耳あかを取るためではなく、耳がかゆいから行うという人もいるかもしれません。でも実は、この耳のかゆみは耳あかのせいではなく、多くの場合は耳掃除をしすぎることで起こります。
綿棒や耳かきで外耳道を触ると刺激で炎症が起こり、その場所に炎症を起こしたり悪化させたりする細胞がますます集まってかゆみを起こす物質を出して、さらにかゆみを引き起こします。耳かきをすることで、耳のかゆみの悪循環を作ってしまっているのです。なので、耳掃除をしすぎないことが重要です。
正しい耳かきの方法
今までの話で、ほとんどの大人は耳掃除はやらなくても良いということをわかって頂けましたでしょうか?
しかし、「どうしても耳掃除がしたい!」という人もいると思います。その場合は2〜4週間に1回程度にしてください。様々な形状の耳かきが売られていますが、特別なものを買い求める必要はなく、綿棒などで十分です。硬い素材の耳かきは外耳道を傷つけやすく、あまりお勧めできません。耳の奥の方は痛みがあることと、鼓膜を傷つける可能性があるので、綿棒などの先端1cm程度を入れて、優しくかき出すように掃除をしてください。
耳掃除をやりすぎると、外耳道の炎症を起こして痛みや強いかゆみに発展することがあります。耳掃除の習慣がある人はこのコラムを読んで、耳掃除のやりすぎになっていないか振り返ってみてください。
まとめ
今回は「正しい耳かきの極意」について説明しました。みなさんにお伝えしたい動画処方箋のポイントは次の通りです。
ポイント1:耳あかは自然に排出されるので、ほとんどの場合には掃除はいらない
ポイント2:耳掃除をしすぎると、かえってかゆくなってしまうので、しすぎないことが大切
そして、掃除をどうしてもしたい時には、2〜4週間に1回、優しくかき出すようにすることが大切です。「正しい耳かきで、かゆみ知らず」な生活をぜひみなさん送ってくださいね。
(動画ライター 医療チーム・耳鼻咽喉科医なつこ)