〈プロに聞く〉庭木、おすすめ17選 種類や育て方のポイントも解説
庭をおしゃれに彩る庭木。草花よりも存在感がある分、選ぶのには気を使います。
今回は、見た目だけじゃない庭木の役割や、環境にあった選び方などをまとめました。造園専門店に聞いた庭木におすすめの常緑樹も紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
目次
一軒家ならおすすめしたい「庭木」
家の庭に植え、育てる植木のことを庭木といいます。もし庭があるなら、草花だけじゃなくおしゃれな庭木を植えてみませんか?
見た目に癒しをもたらしてくれるのはもちろん、生垣として植えたり、外からの目隠しや日除けをしてくれる天然のカーテン代わりになったり。生育環境にマッチする種類を選べば、手間以上にメリットも多いはず。
植物なので当然剪定や手入れは必要になりますが、その分同じ家で一緒に成長していく楽しさを味わうことができるのも庭木の面白さです。
シンボルツリーとは?
家のシンボルとなるような目立つ場所にあり、家を引き立てる役目をする植木をシンボルツリーと呼びます。
近年は一軒家を建てた際に記念樹としてシンボルツリーを植える方も多く、常緑樹や低木、果樹などの種類が人気。
玄関先や門の周りに植えることが多いですが、通りから庭が見える家なら庭木として植えるのもおすすめですよ。庭の主役として、ガーデンコーディネートを楽しんでみてください。
庭木選びのポイント
基本的には気に入ったものを庭木として植えるのが一番かと思いますが、長くお付き合いするなら生育環境や住む方の生活にあった庭木を選ぶのも大切です。
いくつか気にしておきたいポイントをご紹介します!
初心者におすすめなのは落葉樹より常緑樹
常緑樹とは、その名の通り季節問わず常に葉を付けている樹木のこと。反対に落葉樹は秋~冬ごろに葉を落とし冬眠する樹木のことです。
●参考
落葉樹は自然そのものの姿を楽しめるのが最大のよさ。しかし、植え付ける環境を選ぶうえに剪定やこまめな手入れが必要など、常緑樹に比べるとデリケートな種類が多いです。
そのため、庭木やシンボルツリーとして一般的に人気があるのは断然常緑樹の方です。特にガーデニング初心者や、あまり手をかける時間がないという方には常緑樹をおすすめします。
冬と夏で違う情景を楽しみたい、あえて手間暇かけて育ててやりたいというなら、落葉樹も併せて検討してみてくださいね。
低木か中~高木かの見極め
庭木には、植える場所にあわせたサイズも重要です。例えば高木の常緑樹は存在感があって素敵ですが、植える場所によっては家が日陰になってしまうためかえって暗い印象になることも。
扱いやすいのは庭の日当たりを邪魔しない低木常緑樹ですが、剪定や育て方次第ではコンパクトに取り入れることもできます。
こちらは庭木に人気のオリーブ。本来なら5~15mの高木ですが、剪定して鉢植えのシンボルツリーとしているお宅も多いです。
もっと気軽に楽しみたいなら低木を鉢植えで育てるのもおすすめ。日当たりや気温も移動させることで調節できるので、庭木にあった環境を作ってやりやすいです。
ちなみに、「低木」「高木」の定義は地域や分類手法によって異なります。概ね1m未満の樹木を低木、1m以上3m未満の樹木を中木、3m以上が高木と呼ばれることが多いです。
庭木で季節を感じたいなら花や実がなるものを
家にいながら自然を感じることができるのが庭木の楽しみ。さらに季節感も味わいたいという場合には、花や実をつける庭木がおすすめです。
先ほどのオリーブは、常緑樹ながら花も実も楽しむことができるという点も魅力的。ほかにも鉢植えで育てることができるブルーベリーや、シンボルツリーにぴったりの華やかなハナミズキなども人気の庭木です。
思い切ってレモンや梅など本格的な果樹を庭木として育ててみるのもよいですね。
日当たりや生育環境は要チェック
庭木は生き物なので、地植えの場合は環境に適した種類を選んであげましょう。湿気が苦手な庭木を密集している場所へ植えたり、葉焼けしやすい庭木を西側の庭に植えるのはおすすめできません。
環境の中でも、特に植物のご飯である日光は重要!庭の日当たりはどの程度なのか予め確認し、植えることができそうな庭木のなかから選ぶのがよいかと思います。
日当たりの種類と目安
庭づくりのプロが教える!庭木におすすめの常緑樹
庭木として扱いやすい常緑樹について、造園業・植栽施工を営む庭づくりのプロ新美園の新美雅之さんにお話を伺いました。
Q. 庭木として低木を植えたい方へ、おすすめの種類とその理由を教えていただけますか?
新美雅之 さん
日なたの場合、ヒメトベラなどは色合いもよく、乾燥に強いのでおすすめです。低木類は背が低く目に留まりにくいため、色合いのよさはメリットになります。また、ゆっくりと全体が膨らむ様に成長する低木なので、ご自身での剪定も行いやすいです。ヒメトベラのように切り口からの芽吹きもよい木であれば、剪定を行う際も安心感があるのでおすすめですね。
ほかには、ヒメシャリンバイなどもよいです。生育が緩やかな常緑樹であり、花も楽しむことができるのがポイントです。こちらも芽吹きがよい樹種になりますので、管理もしやすいかと思います。
日陰の場合、アセビなどは生育が緩やかで管理面でもおすすめできます。あまりにも暗い日陰ですと細かな枝が枯れ込みますので、広くて明るい日陰向きの樹木です。
Photo by MasaoTaira / iStock
ほかに、アオキは暗い日陰でも生育します。ピクチュラータやサルフレアといったイエローが混じった品種もあり、日陰を明るく演出してくれます。アセビよりは芽吹きもよく、背丈の切り戻しや枝透かし(※)も行いやすいと思います。
※伸びて込み入ってしまった枝を適度に透かす剪定方法
Q. 洋風のお庭にあう、おすすめ庭木を教えてください。
新美雅之 さん
シマトネリコやオリーブなどが流行していますが、これらは生育に制限が必要な場所では注意が必要です。大きさを制限するためにカットを繰り返してしまうと、即座に幹が太くなって樹形が様変わりしてしまうためです。
しかし生育領域に気を使わない広い場所であれば、自由に伸ばして柔らかな樹形を楽しめるおすすめの庭木です。
また、フェイジョアなどは大木になる心配はなく、個性の強い花も楽しめます。
Photo by PatrikStedrak / iStock
果樹としての価値もあり、管理しやすい洋風樹木としておすすめしています。
Q. 和風のお庭にあう、おすすめ庭木を教えてください。
新美雅之 さん
落葉樹であればやはりイロハモミジでしょうか。落葉樹でありながら夏の日光にも耐えやすく剛健な一面もありますが、人の背丈程度の高さにに留めようとすると一気に樹形が崩れてしまうので注意が必要です。できれば背丈は3m~を想定し、枝透かしを主とする剪定で柔らかな樹形を維持したい庭木です。
Photo by Joey Look / iStock
狭い場所でカエデ類の樹木をご希望の場合は、生育の緩やかなコハウチワカエデなどがおすすめ。ただし、夏の直射日光で葉焼けをしやすく、そのまま枝枯れをしてしまう事も多いので、半日陰の環境が望ましいでしょう。
和風常緑樹といえば、かつてはマツやマキが主流でありましたが、現在は和風常緑樹でも自然な木が好まれる傾向です。
生育もおとなしく自然な姿のソヨゴなどは和洋を問わず、和風の庭でも扱うことがあります。
おすすめの庭木を紹介
インタビューで伺った以外にも、ネットやSNS上でよく名前があがっていたおすすめ庭木をまとめました。
常緑樹のおすすめ5選
育てやすく庭木としても人気が高い常緑樹。おすすめの常緑樹をご紹介します。
①シマトネリコ
夏の暑さには強い反面、寒さはやや苦手。屋外の地植えで生育するなら関東から南が適地です。生育力旺盛でぐんぐん伸びるので、周囲に遮るものがない広い庭への植栽が向いています。
庭木やシンボルツリーとして不動の人気を誇ります。規則的に並ぶ小さな鮮やかなグリーンの葉がわさわさと揺れる様子はうつくしく、洋風・和風どちらの庭木としてもマッチするおすすめ樹木です。
②オリーブ
銀緑色の葉や、スタイリッシュな樹形がおしゃれなオリーブ。北欧テイストやフレンチ、アメリカンなど洋風住宅にはぴったりの庭木です。
オリーブは乾燥にとても強いので鉢植えの庭木としてもおすすめ。実を収穫して楽しみたい場合には二種以上を植えるようにしましょう。
③コニファー(エメラルドグリーン)
コニファーとは、マツ科やヒノキ科などの常緑針葉樹の総称です。低木~高木まで様々な種類があり、それぞれ葉の色や樹形も個性的なので、選ぶ楽しみがあります。クリスマスの飾りとしてもメジャーですよね。
コニファーのなかでも庭木におすすめなのがエメラルドグリーン(エメラルド)という品種。葉の発色がきれいで、丁寧に刈り込まなくてもうつくしい円錐形に育つため生垣や目隠しにも便利。さわやかな香りも特徴です。
④ヤマボウシ(常緑)
Photo by kinpouge05 / iStock
もともと日本に自生していたヤマボウシは落葉樹ですが、近年中国産の常緑ヤマボウシが出回るようになり庭木としても人気が出てきました。
Photo by igaguri_1 / iStock
初夏にハナミズキとよく似た白い花を咲かせ、秋に赤い実をつける姿も可愛らしいおすすめ庭木です。シンボルツリーとしてもぴったり。
⑤ソヨゴ
生育が穏やかで寒さに強く、メンテナンスがとても簡単なソヨゴ。日本原産で比較的どんな地域でも育てやすいため、古くから庭木として親しまれてきました。
青々とした葉に真っ赤な実をつける姿がおしゃれで可愛らしいですが、雌雄異株のため実を付けるのは雌株だけです。
落葉樹のおすすめ3選
日本の四季を感じることができる落葉樹。庭先で紅葉を楽しむこともできるおすすめ庭木がこちら。
①モミジ
Photo by itasun / iStock
紅葉といえば、代表的なのがモミジの木。和風庭園に彩りを添えてくれます。成長が穏やかなことから盆栽としても人気がありますよね。
日当たりは好きですが乾燥は苦手なので、根元にグランドカバー(地面を覆うために植える背丈が低い植物のこと)を植えるのもおすすめ。
モミジのなかでも庭木として定番の品種が、イロハモミジ。小ぶりなものであれば価格も比較的安めなので、庭木デビューにいかがでしょうか。
②ドウダンツツジ
モミジと同様、秋に鮮やかな紅葉を楽しむことができるドウダンツツジ。春にはスズランのような小さな白い花がたくさん咲く様子も愛らしいです。半日陰でも育ちますが、日当たりが悪いと秋の紅葉や花づきも悪くなるので注意。
Photo by igaguri_1 / iStock
丈夫な低木なので庭木として取り入れやすいおすすめ品種。枝葉が美しくインテリア性が高いので切り花としても人気なんです。
③ヒメシャラ
細く繊細な枝ぶりがさわやかなヒメシャラは、観賞向きで庭木におすすめの品種です。根が浅いため乾燥に弱いのが特徴、日照り続きのときは庭植えでも水やりが必要になります。
高原の雑木林のような雰囲気を演出してくれるので、ナチュラルな洋風庭園にもぴったり。見た目のおしゃれさから人気の庭木ですが、毛虫が発生しやすいため虫嫌いの方は要注意。
花・実がなる庭木のおすすめ3選
せっかく庭木を植えるなら、葉や枝だけじゃなく花や実がなるものだと育てるのが一層楽しくなりそうですよね。花実をつけるおすすめ庭木がこちら。
①ブルーベリー(ハイブッシュ系)
庭木に果樹を植えるのが憧れているなら、まずはブルーベリーから始めてみるのがおすすめ。比較的育てやすく、低木でコンパクトに収穫まで楽しむことができます。
ブルーベリーは主にハイブッシュ系とラビットアイ系という種類に分かれていて、見た目や好む環境が異なります。ハイブッシュ系の方が寒さに強く、実の粒も大きくて食べごたえがあるのでおすすめですが、酸性土壌に調整する必要があるので注意しましょう。
はじめて果樹を育てるという方におすすめのブルーベリー栽培セット。住んでいる地域に適した品種とそれにあった専用土をお店が選んで送ってくれるという優れものです。土や肥料など調べて購入するのが面倒な方に適しています。
②ジューンベリー
春に可憐な白い花が咲き、6月に赤い実をつけるジューンベリー。紅葉もうつくしい。寒さに強く育てやすい落葉樹で、庭木に実のなる木を探している方にはおすすめです。
門前に植えるシンボルツリーとしても人気。条件があえばほっておいてもたくさんの実をつけてくれますが、鳥に食べられやすいので収穫目当てで植える場合には対策が必要です。
③レモン
Photo by LeS / iStock
常緑性の果樹で、初心者にも育てやすいレモン。上手に育てれば1本で数百個もの実がなるという、見ごたえも栽培の楽しみも抜群のおすすめ庭木です。
鉢植えでもしっかり実をつけてくれるのも魅力。耐寒性はやや弱く、-3℃以下になると枯れてしまうので注意しましょう。地植えするなら温かい地方の日当たりがよい場所に適しています。
生垣にもなる庭木のおすすめ3選
生垣代わりに庭木を植えるなら、葉が茂っていて目隠しの役目をしてくれる種類を選びましょう。生垣としてもおすすめの人気の庭木がこちらです。
①イヌマキ
生垣としては昔から定番の常緑針葉樹、イヌマキ。非常に丈夫で世話いらず、人工樹形として仕立てやすい特性を持っています。
刈り込むことが多いのであまり知られていませんが、イヌマキはグミのようなおもしろい実をつけます。生垣以外にも庭木の主役として使われることも多く、高木を仕立てた姿は和風庭園にぴったりです。
②トキワマンサク
Photo by gaguri_1 / iStock
ひも状の細い花が枝先に大量に咲くトキワマンサク。こちらも環境があえば世話いらずの丈夫な常緑樹なので、庭木や生垣、目隠しにおすすめの樹木です。
半日陰でも生育できますが、花つきが悪くなるためできればよく日が当たる場所が好ましいでしょう。花色は白とピンクがかった紅色の2色で、庭の主役になりそうな鮮やかな発色が目を引きます。
③ツバキ
Photo by c11yg / iStock
日本の気候によくあい、昔から馴染みの深いツバキも生垣としておすすめの庭木です。光沢がある濃い緑色の葉を持つ常緑樹で、冬から春先にかけて咲く大輪の花は見事です。
意外と品種も多く、八重咲、絞り咲き、覆輪咲きなど、同じ色のツバキでも印象が違うので、好みのものを探すのも楽しそう。冬の庭を彩る救世主になってくれる華やかな庭木です。
鉢植えで育てられる庭木のおすすめ3選
最後に、庭木を植えたいけれど日当たりや環境に恵まれない方向けに、鉢植えで育てられるおすすめ庭木をご紹介します。
①ライラック
Photo by tania_wild / iStock
4月~5月にかけて、強い芳香のある花をつけるライラック。たくさんの小花がこんもりと咲く姿はとても華やかで、北国では街路樹として植えられるほどポピュラーな庭木です。
水はけがよい土を好むので鉢植えでも管理しやすく、コンパクトに育つため見た目にも可愛らしくておすすめです。西日を嫌うので、鉢植えにする場合は置く場所を考えてやりましょう。
寒さに強い落葉樹であるライラック。こちらは四季咲き品種のため、春から霜が降りる季節まで長く花を楽しむことができるのがうれしいポイント。
②アジサイ
梅雨の風物詩、アジサイは庭木にもおすすめ。縁取るように花が咲くのは日本産のガクアジサイで、手まりのように丸い花が咲くのは西洋アジサイです。
乾燥にはとても弱いので、直射日光がたくさん当たる日なたよりは半日陰の方が育てやすいです。多彩な品種があり見ていて楽しいのもアジサイの魅力。5月~6月にかけて鉢植えがたくさん出回る育てやすい落葉低木です。
③ミモザ(ギンヨウアカシア)
Photo by Liudmila Chernetska / iStock
春先に鮮やかな黄色い花を咲かせるミモザ。枝が見えなくなるほどふさふさと色づいた姿は圧巻のうつくしさで、観賞用の庭木として人気が高いです。荒地でも生息できる丈夫さで、地植えの場合は毎年剪定しないとすくすくと伸びかなりの巨木になります。
水はけのよい土を好むので鉢植えの庭木にもおすすめ。「ミモザ」は本来オジギソウの学名ですが、日本ではギンヨウアカシアやフサアカシアがミモザという名前で流通していることが多いです。
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まとめ
庭木の役割や選び方、プロが庭木におすすめする常緑樹や、用途別のおすすめ庭木をご紹介しました。せっかく素敵な庭があるなら、ぜひ草花にあわせて庭木のコーディネートも楽しんでみてくださいね。
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