心を動かす。おすすめの大人の絵本12選

南谷 有美
公開: 2021-02-15

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絵本と聞くと、子どもが読むものと思っている方も多いと思います。しかし近年、大人の読み物として絵本が選ばれるようになってきました。

この記事では、大人に読んでほしいおすすめの絵本をご紹介します。


絵本は誰のもの?

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絵本といえば子どもをイメージする方も多いかと思います。確かに児童向けに作られているものがほとんどです。筆者は数年前まで保育士をしていたこともあって、今まで多くの絵本に携わってきました。子どもたちに向けて絵本を読んでいるときに「何かこの言葉、胸に響くな」「この絵本、友達にも読んでほしいな」ということが多々ありました。近年では、「大人の絵本コーナー」のある書店も見られるようになりました。絵本は子どもだけではなく、大人にとっても大切なものとなっています。

大人にも絵本が必要な理由

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具体的に、なぜ大人にも絵本が必要なのでしょうか。次の二つの理由が考えられます。
一つ目は、固まってしまいがちな思考を柔軟にする働きがあることです。絵本は基本的に子どもを対象に作られており、絵・文章・構成ともにシンプルなものがほとんどです。そのため同じ絵本を読んでいても、読み手によって全く異なる解釈となってしまうこともあります。大人は物事に対して正解を求めてしまいがちですが、「色々な解釈があっていいんだな」と思えるということが、絵本を読むことで得られます。
二つ目は、自分自身の癒しに繋がることです。心情にあった絵本を選ぶことで、自分の本当の気持ちに気づくきっかけとなることもあります。
共通することは、絵本を通して客観的に自分を見ることができるようになるということです。大人にとっての絵本は、学びや発想、笑いや癒しなど、様々なものに気づくきっかけを与えてくれるものとなっています。

プレゼントにもおすすめ

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絵本は、お手軽な価格で見た目も華やかなものが多いので、プレゼントにもおすすめです。筆者も友人の誕生日などに、読んでほしい絵本を選んで贈っていました。「え。絵本?」と最初は驚かれますが、読めば読むほど深みにハマっていくのが絵本。「ありがとう」と感謝されることもしばしばあります。プレゼントを検討中の方は、是非絵本も視野に入れてみてください。

おすすめの大人の絵本12選

筆者が実際に読んだ絵本の中で、大人にこそおすすめしたい絵本をご紹介します。ここに書かれているものは、あくまで筆者の解釈となります。絵本は読み手の数だけ解釈が存在します。是非、自分なりの解釈も見つけてみてください。

人間関係の悩みがテーマの絵本

おすすめの絵本1
  • レオ・レオニ
  • スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし

  • 税込み1,650円(Amazon)
  • 自分の役割、自分の価値を再認識する

  • 兄弟が食べられてしまい、ひとりぼっちになった小さな黒い魚スイミー。海を旅するうちに、様々なものと出会います。そして再び大きな魚に出会いますが、驚きの展開が。小さな魚の冒険が、生きていく上での勇気へと繋がる一冊です。

教科書にも載っているレオ・レオニの名作絵本。協力することは大切だという教訓だと思われがちですが、他にもメッセージも込められています。兄弟を失って孤独の中に生きてきたスイミーでしたが、海の中で様々な出会いを経験します。そして、新しい仲間たちと力をあわせて大きな魚を追い払うことに成功します。この時にスイミーが使ったのが、自分だけ色が違うということ。自分自身の価値を最大限に生かしたものでした。個の役割や価値について、考えさせられる一冊です。

おすすめの絵本2
  • ヨシタケシンスケ
  • りんごかもしれない

  • 税込み1,540円(Amazon)
  • 発想力の活性化!様々な視点で物事を見ることができる

  • 「りんご」という題材を使って繰り広げられる、ちょっと不思議な連想ゲーム。見方を変えれば、りんごひとつで無限に考えることができます。思わずクスリと笑ってしまうユニークな世界観が人気です。

たくさんの視点から「りんご」というものを見ます。Aさんから見たものとBさんから見たものは、同じ「りんご」でも異なります。人間関係も一緒で、様々な人が様々な考え方で物事を見ています。「みんな違った考え方だから仕方ないよね」と思わず笑ってしまうような、元気を与えてくれる一冊です。

おすすめの絵本3
  • 五味太郎
  • まどから おくりもの

  • 税込み1,100円(Amazon)
  • 見えている世界と見えない世界

  • 窓の中にちらっとみえる姿をみて、サンタさんは贈り物を選んで配ります。ところが、あれ何かが違う。 サンタさんの的外れなプレゼントに、一同困惑したというお話です。

きつねの耳に見えたのは、大きなワニの背中。窓から見ただけで判断してしまったサンタさんは、動物たちに間違ったプレゼントを配ってしまいます。自分から見えている世界というのは実はほんの一部で、見えていない部分に大切なことが隠されている場合がほとんどです。もし苦手だなと思う方がいても、実は素敵なところもあるのかもしれないと思わせてくれるような一冊です。

おすすめの絵本4
  • 佐野 洋子
  • 100万回生きたねこ

  • 税込み1,650円 (Amazon)
  • 愛するということの大切さを知る

  • 王様、どろぼう、女の子…100万人がその猫をかわいがり、100万人がその猫が死んだときに泣きました。誰の猫でもないのらねことして生まれたとき、一匹の白く美しい猫と出会います。100万回死んでも悲しくなかった猫は、愛する猫を失って、初めて涙を流すというお話です。

100万回も死んで、100万回も生きた猫のお話。どんな暮らしをしても、誰に愛されても、その人のために泣くことがなかった猫でしたが、一匹の愛する猫と出会って、初めて別れの辛さを経験しました。愛することの大切さ、奥深さが感じられます。大切な人と一緒に読んでほしい一冊です。

仕事関係の悩みがテーマの絵本

おすすめの絵本5
  • トミー=アンゲラー
  • すてきな三にんぐみ

  • 税込み1,320円 (Amazon)
  • 何のために働いているのか

  • 泥棒三人組は、ある日馬車を襲います。宝とともにそこに乗っていた女の子も連れて帰りました。その宝についてどうするのか女の子に聞かれて、すぐに答えられなかった三人組。相談した結果、城を買い、孤児を集めて暮らし始めることになったというお話です。

宝をため込んでいた泥棒たち。「まぁぁ、これ、どうするの?」という女の子の一言で、目的がないということに気づきました。これは、働いている私たちにも置き換えられることで、同じ質問をされた時に即答できない方もいらっしゃるのではないでしょうか。仕事もお金も手段にすぎません。その先にあるものは何だろうということを考えさせられる一冊です。

おすすめの絵本6
  • 西内 ミナミ (著)・堀内 誠一 (絵)
  • ぐるんぱのようちえん

  • 税込み1,100円(Amazon)
  • 全力で仕事をすることの大切さ

  • ぐるんぱは、ひとりぼっちの大きなぞう。ビスケットやさん、靴屋さん、ピアノ工場、自動車工場…と色々な仕事場で働きますが、作るものが大きすぎて失敗ばかりでした。そんなとき、子どもたちの世話を頼まれます。ぐるんぱが作った大きなものを使って、すてきな幼稚園を作ったというお話です。

ぐるんぱは、様々な仕事先で失敗をしてしまいます。しかし、最終的にはその作ったものを使って素敵な幼稚園を作り上げました。一見無意味だと思えたり、遠回りだと感じることでも、全力で取り組めば将来必ず何かに繋がります。今できることを精一杯してみようと思うきっかけを作ってくれる一冊です。

おすすめの絵本7
  • なかえ よしを (著)・上野 紀子 (絵)
  • りんごがたべたいねずみくん

  • 税込748円(Amazon)
  • 人と協力することの大切さ

  • とりくんやってきてりんごを一つとりました。きりんくんやってきてりんごを一つとりました。 そこへあしかくんがやってきました。あしかくんもねずみくんも一人では取れないけど、力を合わせることでりんごをとることができましたというお話です。

自分にできないことができる人のことを、うらやましく思ってしまいます。しかし、ねずみくんには体が軽いという特徴がありました。その特徴を生かしあしかくんと力を合わせることで、成功へと辿りつきました。それぞれが様々な能力を持っています。お互いの良いところを生かしながら、作り上げていくことの大切さを考えさせられる一冊です。

おすすめの絵本8
  • 長谷川 義
  • いいからいいから〈3〉

  • 税込1,430円(Amazon)
  • 広い心で世界をみてみよう

  • 散歩中に出会った貧乏神。それを連れて帰ってしまったおじいちゃん。泥棒に入られたり、会社が倒産したり…どんどん貧乏になっていきました。そんな中でもおじいちゃんは「いいからいいから」。申し訳なくなった貧乏神は、手紙を置いて出て行ったというお話です。

おじいちゃんの口癖は、「いいから いいから」。会社がつぶれてショックのお父さんにも「ゆっくりすればいい」と言葉をかけました。その言葉で安心したお父さんは心機一転。新しい商売を始めました。激動の世の中で大切なことは、こういった心のゆとりかもしれないと考えさせられるような一冊です。

自分自身の悩みがテーマの絵本

おすすめの絵本9
  • ナンシー カールソン
  • わたしとなかよし

  • 税込1,430円(Amazon)
  • まずは自分を満たしてあげよう

  • わたしにはすてきなともだちがいるの。それはね…わ、た、し。お絵描きしているときも、自転車をこいでいるときも、本をよんでいるときも、わたしはいつも、わたしといっしょ。自分を大事にすることの大切さを教えてくれるお話です。

このお話のわたしは、わたしのことが大好き。自分を大切にすることで、心にもゆとりが生まれます。心にゆとりが生まれると、ようやく人のことも大切にできるようになります。今は、自分の気持ちに蓋をして生活をしている方が多いように思います。まずは大切なのは、自分を喜ばせてあげること。どの年代の方にも読んでほしい一冊です。

おすすめの絵本10
  • パトリック マクドネル
  • おくりものはナンニモナイ

  • 税込み1,540円 (Amazon)
  • 物より大切なものは?

  • ネコのムーチは考えました。何でももってる友だちを喜ばせる物って何だろうと。うーんと考えた先にムーチが思いついた、最高の贈り物は「ナンニモナイ」でした。

テレビを見ながら「見たいものはナンニモナイ」、子どもたちは「したいことはナンニモナイ」と贈りたいものがなかなか浮かびません。物質的に豊かになった世の中で、一番の贈り物はもしかしたら「時間」なのかもしれません。本当に大切なものについて考えるきっかけを与えてくれる一冊です。

おすすめの絵本11
  • 長谷川 義史
  • おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん

  • 税込み1,540円 (Amazon)
  • 生まれた意味はきっとある

  • 「ねぇ、おじいちゃん。おじいちゃんのおじいちゃんは、どんなひと?」と 5歳の男の子の素朴な質問から、時をどんどん遡ります。命のバトンについてのお話です。

5歳の男の子と72歳のおじいちゃんのお話。数えきれないほどの命のバトンを経て、今のわたしたちへと繋がっています。一人でもご先祖様が欠けていたら、わたしたちは存在しません。そう思うと、ちょっと特別に感じますね。生まれたことに意味があるのかと思う瞬間もあるかもしれませんが、きっとあるはず。自分の存在価値について考えさせられる一冊です。

おすすめの絵本12
  • にしまき かやこ
  • わたしのワンピース

  • 税込み1,210円(Amazon)
  • どんなわたしも、わたし

  • うさぎさんがワンピースを作りました。それを着てお花畑を散歩すると、ワンピースが花模様に…。「次はどんな模様になるんだろう」とワクワクしてしまうお話です。

うさぎさんのワンピースの柄が、次々と変化していくというお話です。仕事の時は仕事の顔。家族に見せる顔、友達に見せる顔、恋人に見せる顔…と、このワンピースのように人も状況に合わせて様々な顔に変化します。それを人は八方美人だというかもしれませんが、どの顔もわたしなのです。「よく頑張ってるね」と思わず自分に声を掛けてしまいたくなるような、一冊です。

絵本を手にとってみよう

大人に関する絵本をご紹介しましたが、いかがでしたか。「子どもの頃、見たことがある」という絵本も出てきたのではないかと思います。絵本は子どものものというイメージがありますが、実は大人にこそ読んでほしい絵本もたくさんあります。是非お気に入りの絵本を見つけて、日々の癒しにしてみてください。

フリーランスカメラマン
南谷 有美
フリーランスのカメラマン。物撮りやブライダル、学校写真などその内容は多岐に渡るが、現在は広告系がメイン。カメラマンの前は保育士を5年、その他にはファスティングコンサルタント、カラーセラピストの資格を所有し、トレーナー育成経験も有り。

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