〈プロ解説〉家庭用3Dプリンターおすすめ3選 選び方やソフトも紹介
近年、低価格な家庭用3Dプリンターが普及したことで、手軽に自分でオリジナルの立体造形物を作れるようになりました。しかし、市場にはさまざまな造形方式や素材があり、初めて購入する方はどの3Dプリンターを選んで良いのか悩むことでしょう。
そこで、今回は家庭用3Dプリンターの選び方やおすすめ商品をご紹介します。3Dプリントを始める際の注意点についても解説します。
目次
おすすめ・人気商品をまずは一覧で
外観 |
商品名 |
特長 |
サイズ |
重量 |
出力サイズ |
データ転送方法 |
---|---|---|---|---|---|---|
【筆者おすすめ】Prusa Research Original Prusa i3 MK3S+ |
3Dプリンターの中でもメジャーなモデル |
幅49.78×奥行54.86×高さ39.88cm |
10.9kg |
幅25×奥行21×高さ21cm |
SDカード |
|
【筆者おすすめ】PP3DP UP Plus 2 3Dプリンター |
デスクの上に気軽に置けるシンプルな軽量タイプ |
幅24.5×奥行26×高さ35cm |
5kg |
幅14×奥行14×高さ13cm |
USB2.0接続 |
|
【筆者おすすめ】Voxelab Aquila C2(キット) |
コストを抑えたい方におすすめ |
幅46.5×奥行48×高さ47.3〜62cm |
7.5kg |
幅22×奥行22×高さ25cm |
SDカード |
3Dプリンターとは?造形方式の違い
3Dプリンターとは、設計図となる3Dデータを基にして、立体造形物を出力(プリント)する機器です。3Dデータは、3D CADもしくは3D CGソフトで作成します。
3Dプリンターは、試作品の製作や小規模な生産など、さまざまな用途で活用されています。また、医療分野では、患者のCTデータから作成した3Dモデルを用いて、カスタムメイドの医療器具や人工関節などの製作にも使用されています。
家庭用の低価格な3Dプリンターもあり、DIYやホビー用としても人気を集めています。一般の人が自宅で手軽に製品を作成したり、自分のアイデアを形にしたりできるのが魅力です。
家庭用3Dプリンターの造形方式は主に2種類
ポイント解説
家庭用3Dプリンターの造形方式は、熱溶解積層方式と光造形方式の2つに大別されます。
熱溶解積層方式のイメージ(Photo by iStock)
熱溶解積層方式は、最も一般的に使われている3Dプリンターの造形方式です。フィラメントという糸状のプラスチックを熱して溶かし、1層ずつ積み上げて物体を造形します。
使用する素材も比較的安く、保管や取り扱いがしやすいので初心者に向いています。ただし、1層ずつ重ねて造形するため、表面に細かい積層痕が残ってしまうというデメリットがあります。
光造形方式は、紫外線を照射し、液体樹脂を硬化させて造形します。高精度で細かい造形が可能で、表面はなめらかな仕上がりとなります。
光造形方式のイメージ(Photo by iStock)
しかし、液体樹脂の取り扱いが難しく、素材や造形物が室内の照明の影響を受けやすいのがデメリットです。また、使用後の液体を下水に流せない場合があるので、処理方法を確認する必要があります。
ポイント解説
初めて3Dプリンターを利用する方には、手軽な熱溶解積層方式がおすすめです。ここからは広く使われている熱溶解積層方式に絞って解説を進めます。
家庭向け3Dプリンターの選び方
ポイント解説
3Dプリンターを選ぶ際に大事なのは、用途を決めることです。たとえば、アクセサリーやフィギュア、鉄道模型など、作りたいものが決まっていれば、機種選定の際に優先すべき項目が明確になります。以下では、代表的な4つのポイントをご紹介します。
① 出力サイズ|作りたいものに合う大きさか確認
Photo by iStock
3Dプリンターの出力サイズは、作りたい造形物の大きさに合わせて選ぶ必要があります。X・Y・Z軸(幅・高さ・奥行き)、それぞれの出力サイズを確認しましょう。
一般的な家庭用3Dプリンターであれば、各10cm以上はあるため、小さなものを作るのには十分です。
② 素材|1.75mmのフィラメントが主流
フィラメント(筆者提供)
熱溶解積層方式の3Dプリンターで使用する素材はフィラメントと呼ばれ、PLAやABSなどのプラスチック素材が一般的です。
直径は1.75mmと3mmのものがありますが、1.75mmが主流。さまざまな色や素材のフィラメントがあり、作りたいものに合わせて選べます。3Dプリンターの購入時に付属していることが多いです。
③ キット|完成品より安いが、組み立てに注意
市販の3Dプリンターの中には、キットで販売されているものも多くあります。組み立て済みのモデルより安く購入できるのが魅力です。
ただ、マニュアルが英語のみであったり、水平を出すなど精度を要求される作業があったり、組み立てに苦労する場合があります。初心者には組み立てが不要な完成品をおすすめします。
④ スライサーソフト|付属しない場合は自分でインストール
Photo by iStock
ほとんどの3Dプリンターは、Gコード(G-code)と呼ばれる加工機用のプログラムによって動作します。スライサーソフトとは、「3DデータをGコードに変換するソフトウェア」です。3Dデータはそのままでは3Dプリントできないため、3Dプリンターで出力するためにスライサーソフトを使ってGコードへ変換します。
スライサーソフトには3Dモデルを平面の層にスライスし、対応するGコードを作成する機能があります。造形条件を細かく設定できますが、ある程度の予備知識が必要です。購入前に、市民工房などで実際に体験することをおすすめします。
専用のスライサーソフトが付属する3Dプリンターもありますが、組み込まれていない場合は、ユーザーが自分で無料または有料のソフトをパソコンにインストールする必要があります。代表的なスライサーソフトは以下です。
お持ちの3Dプリンターに合わせてソフトの設定が必要になります。詳細はそれぞれのページをご確認ください(2023年3月時点の情報)。
ポイント解説
3Dデータを作るソフトには、初心者でも使いやすい3D CADのTinkercadがおすすめです。TinkerCadはユーザー登録だけで無料で使えるので、手軽に始められます。
3Dプリントを始める際の注意点
Photo by iStock
3Dプリンターは加工機であり、設定条件によって出力結果が異なります。造形速度、レイヤー(積層)の厚さ、温度、冷却方法など、さまざまな項目の設定が必要です。
3Dプリンターで実際に造形することで、スキルを磨けます。最初は簡単なものから始め、徐々に複雑なものに挑戦すると良いでしょう。
小さいデータで試し造形をしてコツを掴む
プラスチックを高温で溶かしてノズルから出力するので、形状によっては冷える際の温度差により反ってしまう場合があります。まずは小さいデータで試し造形をして、コツを掴みましょう。
慣れるまでは素材や色を固定して繰り返し造形
Photo by iStock
3Dプリントに使用するフィラメントには、たくさんの種類があります。いろいろ試してみたくなりますが、素材や色によって必要な温度や設定が微妙に異なることがあります。慣れるまでは、同じフィラメントで繰り返し造形するのがおすすめです。
市民工房やネットなど、相談できる場所を持つ
Photo by iStock
3Dプリントで、造形がうまくいかなかったり、失敗が続いたりすることはよくあります。そんなときのために、近くの市民工房やネット上のコミュニティ、友人など、相談できる場所を持っておくと良いでしょう。
状況が困難になった際に助言を得ることができ、問題を解決するのに役立ちます。
ポイント解説
低価格な3Dプリンターが増え、購入のハードルは下がっています。しかし、全く初めての場合は、近くの市民工房などで、設計から造形までの流れを一通り体験してから購入することをおすすめします。筆者が運営する市民工房のおおたfabでは、毎月体験会を実施しています。
3Dプリンターを体験している様子(筆者撮影)
続いては、筆者が選ぶ家庭用3Dプリンター3選
おすすめポイント
3Dプリンターの中でも世界トップシェアを握るモデルの1つ。長年多くのユーザーから高い評価を受けています。台座を高温に保つヒートベッドで、造形物の取り外しが簡単です。水平に積層させるためにズレを補正する自動レベリング機能や、高品質のエクストルーダー(フィラメントを熱で溶かして送り込む機構)を搭載し、コストパフォーマンスに優れています。Prusa i3はオープンソースプロジェクトであり、パーツなどが自由にカスタマイズ可能です。高品質な部品を使用しているにもかかわらず、比較的安く購入できます。専用スライサーソフトを利用できるほか、さまざまな種類のフィラメント素材に対応します。初心者扱い易さ ★★★拡張性 ★★★★★価格 ★★★
おすすめポイント
自動水平補正と高さ調整で、初心者でもきれいに造形できます。専用のスライサーも兼ねたソフトウェアが付属。操作方法もわかりやすいため、簡単に印刷を始められます。独自のスライサーソフトで、表面の積層痕が目立たない、なめらかな仕上がりを実現します。本体サイズがコンパクトで、重量は5kgと軽く、持ち運びやすい点も魅力です。初心者扱い易さ ★★★★★拡張性 ★価格 ★★★
▼「UP Plus2のオートキャリブレーションとノズル高さ自動測定機能」を紹介する公式動画がこちら
おすすめポイント
出力サイズは幅22×奥行22×高さ25cmと大きく、大型のモデルも印刷できます。反りが発生しにくいヒートベッドで、5分以内に高速加熱が可能です。手頃な価格で販売されていますが、日本語でのサポートはありません。また、完成品ではなくキットのため、組み立てが必要になります。初心者扱い易さ ★★拡張性 ★価格 ★★★★★
外観 |
商品名 |
特長 |
サイズ |
重量 |
出力サイズ |
データ転送方法 |
---|---|---|---|---|---|---|
【筆者おすすめ】Prusa Research Original Prusa i3 MK3S+ |
3Dプリンターの中でもメジャーなモデル |
幅49.78×奥行54.86×高さ39.88cm |
10.9kg |
幅25×奥行21×高さ21cm |
SDカード |
|
【筆者おすすめ】PP3DP UP Plus 2 3Dプリンター |
デスクの上に気軽に置けるシンプルな軽量タイプ |
幅24.5×奥行26×高さ35cm |
5kg |
幅14×奥行14×高さ13cm |
USB2.0接続 |
|
【筆者おすすめ】Voxelab Aquila C2(キット) |
コストを抑えたい方におすすめ |
幅46.5×奥行48×高さ47.3〜62cm |
7.5kg |
幅22×奥行22×高さ25cm |
SDカード |
3Dプリンターの人気売れ筋ランキング
関連記事はこちら
3Dプリンタの記事はこちら
-
LINEの友達登録をお願いします!
LINE限定で、毎週の人気記事を配信します!
XでMoovooをフォロー!
Follow @moovoo_