〈プロ解説〉オイルヒーターおすすめ9選 安くてコスパに優れた商品も紹介
電気の力で「オイル」を温めて、その熱でじんわりと身体や部屋をあたためてくれる暖房器具がオイルヒーター。
ジャバラ状のフィンの内部には、寒い冬でも凍結しないオイルが入っていて、加熱することにより「輻射熱(ふくしゃねつ)」という熱が放出される仕組みです。
デロンギやアイリスオーヤマなど多くのメーカーから発売されているほか、省エネ機能を搭載したモデルなどさまざまあり、どれを選ぶべきか悩みがち。
そこで今回は、技術系家電ライターの藤山哲人さんによるオイルヒーターの選び方やおすすめ商品を紹介します。近年増えてきているオイルレスヒーターも含め、ぜひ参考にしてください。
ポイント解説
「輻射熱」という難しい言葉が出てきましたが、日向ぼっこをしているとポカポカと暖かく感じる熱と同じで、赤外線で伝わる熱のことを指します。電気ストーブや石油ストーブも輻射熱を出しますが、こちらはヒーター部分が高温のため、日向ぼっこというよりは直射日光を浴びているようなジリジリとした熱さです。またエアコンの温風のように、風や空気で伝わる熱とは異なります。オイルヒーターはじんわりと体の芯まで温まるような、やさしいヒーターと言っていいでしょう。
目次
▼ 暖房器具の役立つ情報を紹介
まずはプロおすすめ、オイルヒーター5選
おすすめポイント
日本のオイルヒーター市場でトップシェアを誇るメーカー、デロンギの定番モデル。温度やタイマーの設定はノブ式で操作性に優れています。部屋の温度を感知して、設定温度よりも控えめに運転するエコモードを搭載し、約20%の節電が期待できます。平均表面温度は約70度で、やけどしにくいのがポイント。別売りのトップハンガーを使えば、衣類やタオルの温めにも活用できます。
おすすめポイント
フラットなデザインでお手入れしやすい山善の製品。インテリアの一部となるような美しいヒーターを目指して作られたmillのオイルヒーターは、角が丸く、黒と白だけのシンプルなデザインが魅力です。側面のボタンとダイヤルで操作でき、大型の表示パネルで出力や温度などを確認できます。24時間の入/切タイマーとは別に、就寝中に運転を一時停止するおやすみタイマーを搭載。快適に眠ることができ、朝には暖かい状態で目覚められます。
おすすめポイント
山善が2022年から参入したオイルレスヒーター。シンプルなボタン配置で操作しやすく、高齢の方でも簡単に使えます。オイルが入っていないぶん本体は約5.5kgと軽く、部屋間の移動も楽々です。温度は16・19・22・25・28度の5段階で設定でき、出力は3段階に切り替えが可能。24時間の入/切タイマーも搭載し、ライフスタイルにあわせて設定できます。
おすすめポイント
ユーレックスは日本のオイルヒーター専門メーカーです。ヘリテイジヒーターは同社のオイルレスモデル。平均表面温度は約60度で、やけどしにくい安全設計です。便利機能のひとつであるマイタイマーは、何時間後に入/切といった普通のタイマーとは違い、何時に何度というように、1時間ごとに室温設定ができます。タイマーは2通り記憶できるので、平日と休日とで使い分けが可能です。出力は4段階でこまめに調節できるほか、エコ運転では設定温度よりも少し低い温度で室温をキープして、通常運転よりも約25%の節電が期待できます。
- アイリスオーヤマ
-
ウェーブ型オイルヒーターマイコン式 KIWH2-1210M
- 税込み18,480円(公式サイト)
-
うつくしいウェーブフィンが特徴
おすすめポイント
表面積を広げたウェーブ状のフィンで、従来モデルよりも熱効率を高めています。24時間の切タイマーは、1時間刻みで設定が可能に。温度は10〜28度の範囲で設定でき、出力も500・700・1200Wの3段階で切り替えられます。室温に合わせて出力を切り替えるエコモードも搭載し、無駄な電力をカット。電源コードは本体に収納できるので、すっきりした状態で片付けられます。
赤ちゃんやペットのいる家庭に、オイルヒーター
オイルヒーターをおすすめしたいのは、赤ちゃんや小さな子どもがいる家庭です。フィン(熱放射部分)の表面温度がほかの暖房器具に比べて低く、万が一、子どもが触ってもやけどしにくいからです。
また、ペットと一緒に暮らす家庭でも安心して使えます。ペットのいる家庭用に設計されたオイルヒーターが発売されるほどで、火を使わない暖房器具として、寒さに弱い犬猫種の防寒対策に役立ちます。
▼冷気が入ってくる場所に置くと効果的
オイルヒーターは部屋の中央に置いてもいいですが、冷気が入りやすい窓から少し離れたところに置くのがおすすめです。あまり窓際に近づけると部屋の空気が結露して乾燥の原因になります。20cm以上の距離を取って設置しましょう。
ポイント解説
部屋の窓ガラスがUVカットや複層ガラス、そのほか遮熱・断熱ガラスなどの場合は、より暖房効率が上がります。部屋に窓がない場合は、屋外の冷気に触れている壁側に設置するといいでしょう。
オイルヒーターのメリット・デメリット
Photo by iStock
暖房器具としてオイルヒーターを選ぶメリット・デメリットについて解説します。
メリット|乾燥しづらく、最低限の加湿でOK
石油やガスを燃焼するファンヒーターなどは、部屋が乾燥しません。なぜなら石油やガスを燃やすと、二酸化炭素と同時に水が発生するからです。
しかしエアコンや電気ストーブのように、燃料を燃やさず部屋の温度だけを上げる暖房は、部屋が乾燥するため加湿器が必須となります。
オイルヒーターも燃料を燃やさないタイプの暖房ですが、輻射熱で人の体を直接温め、部屋の温度もじわじわと上げていくので、エアコンや電気ストーブに比べて乾燥しづらいのが特徴です。
ただ長時間つけていると空気が暖まってくるので、加湿器を用意したほうがいいでしょう。
▼デザイン性の高いおしゃれなモデルも
一般的な暖房器具に比べると、部屋のインテリアになじむデザイン性に優れた商品が多いです。最近はフィンが見えない内蔵型など、一見してオイルヒーターとはわからないような、おしゃれなモデルもあります。
ただ、オイルが入った鉄製のフィンゆえ本体が重いので、大抵の製品には引っ張って動かせるように車輪と取っ手が付いています。
デメリット|電気代が高くなりがち
Photo by iStock
フィン表面は触ってもやけどしない程度にしか熱くならないので、部屋全体を暖めるには一日中つけっぱなしにしておく必要があり、電気代も高くなりがちです。多くの家庭では1ヶ月に1万~2万円ほど電気代がかかるといわれています。
一般的なオイルヒーターは消費電力が600〜1500W程度なので、弱で使うと1時間あたり約18.6円、すきま風の多い寒い部屋で13畳用をフルパワーで使うと、1時間あたり約46.5円かかります。1日12時間使用した場合、およそ223.2円〜558円となり、エアコン暖房に比べるとかなり高めです。
ポイント解説
メーカーやモデルによって異なりますが、省エネ機能がついている製品なら10~20%の節電が期待できます(ただし、若干温度が上がりにくいように感じることがあります)。電気代の高さは「子どもやペットの安全を買っている」と考えると安く思えるかもしれません。
今冬は「オイルレス」ヒーターへの転換期
近年注目を集めている暖房器具のひとつに、「オイルレス」ヒーターがあります。「オイルレスならオイルヒーターじゃないでしょ!」というご意見もごもっとも。しかし独特の温かさはオイルヒーターそのものです。
オイルヒーターのトップメーカー「デロンギ」では、オイルレスモデルを「マルチダイナミックヒーター」と呼びますが、ほかのメーカーでは「ヘリテイジヒーター」と呼ぶこともあります。メーカーによって呼称がバラバラなので、商品の説明などをよく読み「オイルレス」なのかを確認してください。
オイルレスヒーターは、フィンをやけどしない程度に直接温めます。熱を仲介する「オイル」がないので、速暖性に優れ、一般的なオイルヒーターと比べて電気代が60~70%安く済むのが特徴です。
ポイント解説
これまで直接フィンをやけどしない程度に暖めるのが技術的に難しかったのですが、半導体の進化で細かい温度調整ができるようになりました。そのため、オイルを使わなくても、じんわりとした温かさが得られる「オイルレスヒーター」が増えてきています。
オイルヒーターの選び方、4つのポイント
電気代は高くつくものの、じんわりと温まる独特のぬくもりや、赤ちゃんや子ども、ペットにも安全という点で、冬になると家電量販店にはオイルヒーターのコーナーができるほど人気です。
どれを選べばいいのか迷っている方は、ぜひ次のポイントを参考に、自分にぴったりなものを選んでください。
① 適用畳数|8〜13畳が主流、部屋の広さに合わせて
Photo by iStock
製品ごとに「木造◯畳、コンクリート◯畳」といった適用畳数が目安として示されています。適用畳数はフィンの数で決まりますが、およそ8~13畳が主流です。
ペット用や国内メーカーだと4畳から用意されている製品もありますが、部屋全体が暖まるまでに時間がかかるので、リビングや寝室には向いていません。
使用する部屋よりも狭い適用畳数の製品を選ぶと暖房効率が下がるので、部屋の広さに合うものを選びましょう。
② フィン|凸凹があり枚数が多いほど効果的
オイルヒーターは1枚1枚のフィンがジャバラ状になってできています。このフィンに凸凹があるほうが、放熱できる表面積が大きくなるぶん、より効率的に暖まります。また、フィンの数が多いほど、適用畳数も広くなります。
ポイント解説
最近はレトロなフィンのデザインを嫌い、フラットに見せるデザイン重視のオイルヒーターもあります。とくにオイルレスヒーターは、フラットなデザインが多いようです。
③ 表面温度|安全を考えるなら60度以下
Photo by iStock
小さな子どもやペットがいる家庭で、より安全に配慮したいときは表面温度が60度以下の製品を選んでください。また、むやみに温度設定を変えられないように、チャイルドロック機能が付いているものがいいでしょう。
猫と一緒に住んでいる場合には、操作パネルが上部ではなく側面にある製品がおすすめです。上部にあると猫が上に乗ったときに、誤操作の原因になってしまいます。
④ タイマー機能|温度設定もできると便利
赤ちゃんがいる家庭などでは1日中使う場合が多いので、24時間のタイマー機能が付いている製品を選びましょう。起床に合わせて部屋を暖めておいたり、切り忘れを防止したりできます。
中には時間と合わせて温度を設定できるモデルも。たとえば深夜から早朝にかけては10度に保ち、朝起きるころには20度まで上昇。昼には少し温度を下げて、再び寒くなる夕方からまた20度に、というように1日のサイクルを設定できます。
最新式では、スマホと連携して、電源を入れたり温度を調節したり、屋外から操作できるものもあります。
【編集部PICK UP】オイルヒーター、人気メーカーの売れ筋商品
Moovoo編集部
数あるオイルヒーターの中でもECサイトなどで売れ行き好調な、人気メーカーの商品を紹介します。ぜひ参考にしてください。
外観 |
商品名 |
特長 |
サイズ |
重量 |
適用畳数 |
フィンの形状、枚数 |
表面温度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
【筆者おすすめ】デロンギ アミカルド オイルヒーター RHJ35M0812-DG |
部屋全体をムラなく暖める |
幅26×奥行43×高さ65cm |
12.5kg |
8〜10畳 |
新L字型フラット、7枚 |
約70度 |
|
【筆者おすすめ】アイリスオーヤマ ウェーブ型オイルヒーターマイコン式 KIWH2-1210M |
うつくしいウェーブフィンが特徴 |
約幅25.6×奥行45×高さ63cm |
約10.6kg |
木造約6畳、コンクリート約8畳 |
ウェーブ、8枚 |
記載未確認 |
|
【筆者おすすめ】山善(YAMAZEN) mill オイルヒーター 1200W YAB-H1200TIM |
ダイヤルを回すだけで温度設定が可能 |
幅26.5×奥行35.5×高さ66cm |
約10.3kg |
木造6畳、コンクリート8畳 |
記載未確認 |
記載未確認 |
|
【筆者おすすめ】山善(YAMAZEN) オイルレスヒーター DOL-J12 |
速暖性に優れた、軽量のオイルレスタイプ |
幅27×奥行78.3×高さ59.3cm |
約5.5kg |
最大約8畳 |
記載未確認(オイルレス) |
記載未確認 |
|
【筆者おすすめ】ユーレックス(eureks) ヘリテイジヒーター EHT-M15QDF |
2通り記憶できるタイマー機能を搭載 |
幅22×奥行47×高さ59.5cm |
約10.5kg |
10〜13畳 |
4本のアルミパイプと4本のヒーター(オイルレス) |
約60度 |
|
デロンギ ヴェルティカルド オイルヒーター RHJ21F0812 |
生活パターンに合わせられる24時間タイマー |
幅26×長さ43×高さ65cm |
13kg |
8〜10畳 |
サーマルカットフィン、8枚 |
約80度 |
|
ユーレックス(eureks) オイルヒーター VF8BS |
室温管理しながら省エネ運転も |
幅20.5×長さ41×高さ62cm |
約14kg |
3〜8畳 |
8枚 |
60~80度(自動運転開始後) |
|
TEKNOS ミニオイルヒーター TOH-363 |
軽くて動かしやすい取って付きのミニサイズ |
幅14×奥行26×高さ39.5cm |
3.1kg |
記載未確認 |
5枚 |
記載未確認 |
|
DBK オイルヒーター HEZC13/10JCH |
最大1300Wのパワフルタイプ |
幅59×奥行26×高さ64cm(キャスター含む) |
17.9kg |
4〜9畳 |
10枚 |
記載未確認 |
オイルヒーターの人気売れ筋ランキング
関連記事はこちら
達人に聞くの記事はこちら
-
LINEの友達登録をお願いします!
LINE限定で、毎週の人気記事を配信します!
XでMoovooをフォロー!
Follow @moovoo_